はじめまして、指導員のしまと申します。法の矛盾点をついた非常に良い質問ですね。それだけに、明確な回答は難しく、複雑な言い回しになることをご容赦ください。
「交通整理の行われている交差点」とは、信号機や警察官(交通巡視員を含む)によって、交互に一方の交通を止め、他方を通す交通整理が行われている交差点をいいます。信号機だけに限定して考えると、一方が必ず赤信号で、他方は青信号(矢印含む)または黄点滅または赤点滅ということになります。
それ以外の交差点が「交通整理の行われていない交差点」ということになり、黄点滅と赤点滅のように点滅信号だけの交差点も、どちらの方向からも同時に交差点に進入できるので「交通整理の行われていない交差点」です。
さて、ひでおさんのドライブ中の疑問について考えてみましょう。
正に「交通整理の行われていない交差点」での出来事ですから、法律上その規定が適用されることになります。
ただし、ここではっきりさせておかなければならないのは、「左方優先」という俗語から、あたかも左方の車に優先権があるように勘違いされやすいのですが、実は左方の車に法律上の優先権はありません。あるのは、左方から進行してくる車の進行妨害をしてはならない、という右方の車に対する義務規定だけです。ですから、左方の車が優先権を主張できるものではなく、この規定よりも譲り合いのほうがより大切と考えてよいと思います。
ご質問のような交差点の場合、現実には黄点滅方向からの車が赤点滅方向からの車より先に交差点を通行することが多いように感じますが、安全かつ円滑に通行できればなんの問題もないと思います。
ここで話を最初の議論に戻して、もう少しややっこしくさせていただきます。
実は、道交法の条文に「交通整理の行われている交差点」「交通整理の行われていない交差点」という言葉は出てくるものの、「交通整理」とは何たるかという定義はされていません。
では、何を根拠に上記の説明をしたのかと怒られそうですが、根拠となっているのは法規ではなく判例です。過去に「交通整理」に関わる裁判での判例に基づいて考えるとそうなるので、教習所でもそう教えましょうということになっているのです。ですから、十字路やT字路だけでなく全国には思いも寄らない変則的な交差点があるはずですが、そこを「交通整理の行われている交差点」か否か問うても多分答は出せないでしょう。
日本の法律制度から考えて、個々の裁判で出た判例を規定事項のようにとらえるのには疑問が残るところですね。
また、ひでおさんの質問が回答者をどれだけ悩ませたか(良い意味で)お分かりになっていただけたでしょうか。
着地点が見つからないような回答でしたが、ご容赦を。