01年6月、前橋市の月決め駐車場で無免許運転したとして、道交法違反に問われた男性会社員(46)に対し、東京高裁は21日、1審の罰金8万円を破棄し、無罪を言い渡した。原田国男裁判長は「現場は特定の人だけが利用する場所で、道交法の適用を受ける道路ではない」と述べた。そのうえで「ここまでの取り締まりをする合理的理由は見いだせない」と、警察の捜査に疑問を投げ掛けた。男性は運転免許の停止処分中だった01年6月、軽トラックをバックさせたところ、別の乗用車にぶつかり、群馬県警に摘発された。前橋簡裁は今年5月、罰金8万円の略式命令を出したが、男性は納付に同意せず、正式裁判に持ち込まれた。
この駐車場は、2方を塀、もう1方を畑で囲まれており、駐車場と道路の境界には白線が引かれていた。弁護側は「駐車場は契約者とその関係者だけが利用し、不特定多数の使用は認められていない」と無罪を訴えた。判決もこの主張を認め「道交法の適用を受ける『一般交通の用に供するその他の場所』に当たらない」と判断した。
前橋簡裁は「門扉や鎖がなく、管理人もおらず、一般の通行が黙認されている道交法上の道路」と判断していた。【小林直】
弁護人の内田武弁護士の話丁寧な審理を経た妥当な判決。客を誘い込むために設置したパチンコ店の駐車場を道路と認め、有罪判決を受けた例はあるが、拡大解釈は許されない。警察は、個々の駐車場の性質をよく考えて検挙すべきだ。(毎日新聞)
[10月23日3時20分更新]